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ムコ多糖症IX型:概要

ムコ多糖症(MPS)のなかでは最も稀なタイプなので、ムコ多糖症IX型の情報は限られており、その管理ガイドラインもほとんど存在しません1

ムコ多糖症IX型はNatowicz症候群とも呼ばれ、ヒアルロニダーゼという酵素の欠損によって生じます。この酵素は、グリコサミノグリカン(GAG)のヒアルロン酸を分解するために必要とされるものです。このGAGが滑液や軟骨、皮膚に高度に発現すると、進行性の関節症状が現れます。1,2

ムコ多糖症IX型は、様々な年齢で発症し、抗炎症薬では改善されない慢性の関節痛を伴います。1,2

観察される症状

  • 症状は様々な年齢で現れます。1,2
  • これまでに確認されている症状には、以下のようなものがあります。1,2
    • 選択的関節痛
    • 腫脹と可動域の低下
    • 関節の過伸展
  • 低身長が1件報告されています。
  • 抗炎症薬では改善されない慢性の関節痛があり、同じような症状を持つ小児が家族内にいる、またはMRI検査で、びらんのない増殖性滑膜炎が認められた患者さんは、ムコ多糖症IX型を疑ってください。

症状進行

  • 全体的な疾患負担:患者さんには、慢性関節痛や浸出、嚢腫、歩行障害、可動域の低下が生じます。2
  • 患部組織にGAGが蓄積し続けることによって、関節症状はどんどん悪化していく可能性があります。2

遺伝学的情報

  • ムコ多糖症IX型の原因は、HYAL1遺伝子の変異です。1
  • HYAL1内の病原性変異体として確認されているものは4種類あります。3
  • HYAL1の変異と、その結果生じる酵素欠損によって、GAGのヒアルロン酸が蓄積します。1,2

疾患を管理する上で鍵となる考慮事項

  • 現時点では、ムコ多糖症IX型に対する療法として承認されているものはありません。
  • 治療・管理法については、以下の文献を参照してください。
    • Imundo L, Leduc CA, Guha S, et al. A complete deficiency of Hyaluronoglucosaminidase 1 (HYAL1) presenting as familial juvenile idiopathic arthritis. J Inherit Metab Dis. 2011;34(5):1013-1022. doi:10.1007/s10545-011-9343-3.
    • Natowicz MR, Short MP, Wang Y, et al. Clinical and biochemical manifestations of hyaluronidase deficiency. N Engl J Med. 1996;335(14):1029-1033. doi:10.1056/NEJM199610033351405.

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ムコ多糖症治療は新時代へ。常に情報を入手しましょう。

References:  1. Imundo L, LeDuc CA, Guha S, et al. A complete deficiency of Hyaluronoglucosaminidase 1 (HYAL1) presenting as familial juvenile idiopathic arthritis. J Inherit Metab Dis. 2011;34(5):1013-1022. doi:10.1007/s10545-011-9343-3.  2. Natowicz MR, Short MP, Wang Y, et al. Clinical and biochemical manifestations of hyaluronidase deficiency. N Engl J Med. 1996;335(14):1029-1033. doi:10.1111/ped.12636.  3. Triggs-Raine B, Salo TJ, Zhang H, Wicklow BA, Natowicz MR. Mutations in HYAL1, a member of a tandemly distributed multigene family encoding disparate hyaluronidase activities, cause a newly described lysosomal disorder, mucopolysaccharidosis IX. Proc Natl Acad Sci USA. 1999;96(11):6296-6300.